長円とは、陸上競技場のトラックのように、同じ長さの平行な2直線の両端に半円が接している形状を指します。
JISでは、長円と表現しますが、人によっては長丸と呼ぶ場合もあります。
国語辞典では、長円と楕円を類義語として表記しているケースもありますが、特に製図関連では、別物として表現します。
JIS B 0001 機械製図では、長円の穴に関する製図ルールを設けています。
長円の穴のことをスロット(SLOT)と表記する場合もあります。人によっては、短縮して長穴と呼ぶ場合もあります。
長円の穴は、通常の穴とセットで扱うことが多いので、穴の寸法の表し方(JIS機械製図)も参考にしてください。
寸法入れ
JIS B 0001 機械製図では、4種類の例題を提示しています。
2面幅と円弧の頂点の幅

円弧部は、最大寸法での表記になるように円弧の頂点同士で寸法を入れます。
円弧に関する寸法は、10×25の長方形を想定し、3接円という形で円弧サイズは自動で決定されるので、参考寸法として円弧サイズを省略し括弧付きのRで表現します。
「(R)」の表記に関しては、JISの改訂により寸法値付きの「(R5)」という表記も可能になったので、CADでの操作ではあえて数値を消す作業を省略できるようになりました。
2面幅と円弧の中心点の幅

円弧部は、円弧の中心点同士で寸法を入れます。
長円の穴には、ピンやボルトが入る場合が多く、ピンなどが移動できるストロークで設計することが多いので、この手法が一番多く使われています。
円弧に関する寸法は、長さ15の平行な2直線に、2接円という形で円弧サイズは自動で決定されるので、参考寸法として円弧サイズを省略し括弧付きのRで表現します。
「(R)」の表記に関しては、JISの改訂により寸法値付きの「(R5)」という表記も可能になったので、CADでの操作ではあえて数値を消す作業を省略できるようになりました。
加工工具と移動範囲

溝幅と同じ工具径で加工する想定で、使用する工具径と移動距離で指示をします。
寸法を入れる側の円弧に同じサイズの円を細い二点鎖線で作図し、直径寸法で表記します。
直径として読み間違いがない場合は、直径記号Φは、省略してもよいとJISの改訂がされたので、「10」のみ表記を「Φ10」表記にしてもよく、CADでの操作ではあえてΦ記号を消す作業を省略できるようになりました。
引出線による入れ方

引出線を形状から引き、参照線上に寸法値を記入していきます。
2面幅と円弧の頂点同士の幅で寸法を入れたときに使用する数値を使用し、「SLOT 10×25」のように2面幅の寸法を先に、掛ける(×)の次に頂点同士の幅の寸法という順番で記入します。
JISの例図では、直線部分に引出線を配置していますが、例えばソリッドワークスでは、穴寸法テキストというコマンドを使うと円弧を選択することで入れることができます。
長円の穴には記号の設定がありませんので、「SLOT」もしくは「長円の穴」を数寸法値の前に記入します。
この手法は、JISの改訂により追加された手法になります。
補足
中心線(細い一点鎖線)の作図方法は、特にJIS B 0001 機械製図では規定されていないので、
位置寸法を入れる場合に、どちらかの円弧の中心点に入れるのか、長円の中心を基準に入れるのかによって使い分けでいいと思われます。






