3次元空間上に部品を配置した場合、その向きに応じて呼称が決まっており、JISでの表現方法や各メーカーでの表現方法が異なっています。
マスターキャムは、アメリカ製のCAD/CAMでコマンド名などを日本語化する過程で、カタカナ表記にしたもの、日本語表記にしたものが混在しています。
JIS用語とマスターキャムでの表記の違いなども含めて各表示方向などを解説します。
インターフェース

マスターキャムのグラフィック領域内の左下には、Gビューキューブと呼ばれる座標軸とサイコロ上のブロックがデフォルトで表示されています。
Gビューキューブの各名称部分やエッジ部分・頂点部分をクリックするとその向きに切り替わります。
矢印部分をクリックするとダイナミック平面作成コマンドが実行されます。
ダイナミック平面作成以外の平面作成は、
アイコンから実行できます。
画面の表示を切り替える場合は、Gビュー( Graphic Views ) で切り替えを行います。(アイコンは「G」)
Gビューを切り替えるとマスターキャムはデフォルト状態で作図平面(アイコンは「C」)と工具平面(アイコンは「T」)を連動して切り替えます。
作図平面( Construction planes ) = 作図するときのXYに該当する平面
工具平面( Tool planes ) = ツールパス作成時のXYに該当する平面
作図平面と工具平面は、画面に対して横軸がX軸・縦軸がY軸になります。

ショートカットキーで「Alt+F9」を使うと原点位置に座標軸を表示させることができます。
デフォルト平面
平面の切り替えは、グラフィック領域内で右クリックから切り替えるか、GビューキューブのGアイコンから切り替えをします。

また、ショートカットキーにも割り当てられています。
Altキーを押しながら数字キーを押します。
(数字はテンキーじゃない方になります)
トップ

Gビューがトップの場合XY平面が作図平面となります。
(横軸がX軸・縦軸がY軸)
マスターキャムの起動時はデフォルト設定でトップ平面の状態で起動します。
JIS用語では、平面という呼称を用いますが、違うCADによっては上面という呼称を用いる場合もあります。
通常、2次元的なツールパスを作成する場合は、トップ平面のみで作図をします。
また、NC旋盤用のツールパスを作成する場合もトップ平面のみで対応可能です。ツールパス作成時に自動で横軸がZ軸・縦軸がX軸に書き換えをしてくれます。
フロント

Gビューがフロントの場合XZ平面が作図平面となります。
(横軸がX軸・縦軸がZ軸)
JIS用語では、正面という呼称を用いますが、違うCADによっては前面という呼称を用いる場合もあります。
(多くの場合ZX平面と呼びますが、横軸を最初に表記するように統一するためにXZ平面としています)
右

Gビューが右の場合YZ平面が作図平面となります。(横軸がY軸・縦軸がZ軸)
JIS用語では、右側面という呼称を用います。
標準3面図

高校などで製図を学ぶとき、正面(=フロント)・平面(=トップ)・右側面(=右)を基本に図面を描きましょうというような形で学ぶこともあり、斜面などがない部品の場合は、多くの設計者がこの3方向をベースに設計をしています。
マスターキャムで右クリックをした時もトップ・フロント・右の3方向以外は、Gビューの中に集約されててアクセスしづらくなっています。
アイソメ

Gビューをアイソメに切り替えするとX軸・Y軸・Z軸それぞれ間の角度が同じ角度に見えるように表示方向が切り替わります。
JIS用語では、等角投影という呼称を用います。
アイソメの正式名称はアイソメトリック(isometric)と呼び等角投影の英語表現になります。
アイソメの状態やマウスの中ボタンで回転させた場合など立体形状として見えているビューの場合は、作図平面は切り替わりません。
その他の平面

ボトムは、トップ(XY平面)を裏側から見ている状態でX軸の矢印が左向きの状態になります。(JIS=下面)

バックは、フロント(XZ平面)を裏側から見ている状態でX軸の矢印が左向きの状態になります。
(JIS=背面)

左は、右(YZ平面)を裏側から見ている状態でY軸の矢印が左向きの状態になります。
(JIS=左側面)
アイソメ以外の立体表現

逆アイソメは、アイソメの方向を基準にZ軸を90度回転させた方向になります。
(JISでは、この方向に該当する名称は規定されていません)

トリメトリックは、JIS用語で不等角投影をさし、X軸・Y軸・Z軸それぞれ間の角度が違う角度に見えるように表示します。
他のCADでも同様ですが、アイソメ=等角投影の方向で表示した場合に奥行き方向のエッジなどが重なるような場合に見づらくなることがあり、トリメトリック=不等角投影を用いることがあります。
(アイソメ=等角投影やトリメトリック=不等角投影に関しては等角投影図と等角図を参照してください)
補足
マスターキャムや多くのCAMの場合は、2D加工をベースにツールパスを組むことになるのでXY平面を基準に座標軸の方向が決められています。側面方向も同様にZ軸が上向きになるように表示方向が決められています。
しかし、他のCADでは、平面名と座標軸の関係が異なることがあります。また、等角投影の座標軸の方向も同様に異なる場合があります。

Mastercamと親和性の高いCADにSOLIDWORKSでは、
- 正面=XY平面 X軸が横軸・Y軸が縦軸
- 平面=ZX平面 X軸が横軸・Z軸が縦軸 ただしZ軸は下向き
- 右側面=YZ平面 Z軸が横軸・Y軸が縦軸 ただしZ軸は左向き
マスターキャムとソリッドワークスの軸構成は、このように違いがあります。欲に等角投影の方向がマスターキャムは縦軸がZ軸に対して、ソリッドワークスがY軸になります。
他のCADからデータをインポートした場合や原点や配置方向を切り替えたり、デフォルト平面以外の平面で作図をしたい場合はマスターキャムでのワーク座標系(WCS)の設定を参照してください。






