簡単ツールパスコマンド

マスターキャムの2D/3Dツールパスコマンド

Mastercamのメリットは他のCAMたCADCAMに比較してツールパスコマンドの豊富さがあり、CAMオペレータやマシニングセンタのオペレータの理想とする工具の加工経路を実現できることが挙げられます。
また、加工時間の短縮や工具寿命の増加を目指したダイナミックモーション機能を用いたツールパス作成が可能なこともメリットの一つになります。

逆に設計者やマシニングセンタのオペレータがツールパス作成を兼務しているような場合は、コマンドが多いことや設定項目が多いことが作業を難しくするのでデメリットしてとらえられる場合もあります。

Mastercamのツールパスコマンドの中に加工経路はCAMにお任せになりますが、設定項目数の少ないコマンドがあり、そのようなコマンドを活用することにより、短い時間でNCデータを出力できるようになります。

また加工形状を選択する際に、実加工時にダウンカットさせたい場合は、進行方向右側をエンドミルが通るように加工する経路の方向を考える作業も軽減できます。

2Dツールパス

2Dツールパスは、ワイヤーフレーム要素(円や直線)とソリッドのエッジからツールパス作成を行います。

ドリルツールパス

ドリルツールパスは、ドリルやタップを利用した固定サイクルGコード用の丸穴加工に特化したコマンドになります。

使用する工具と固定サイクルコードの関係を把握しておくことが必要になります。
(ドリル加工のNCデータサンプル)
(ソリッドモデルからのドリルツールパス作成)
(マスターキャムで穴加工)

サークルミルツールパス

サークルミルツールパスは、輪郭ツールパスコマンドを丸穴専用に特化したコマンドになります。

形状選択は、ドリルツールパスコマンドと同じ仕様になっており、輪郭ツールパスのように進行方向を考えた形状選択が必要ありません。

スロットミルツールパス

スロットミルツールパスは、ポケットツールパスコマンドを簡略化したコマンドで加工経路のパリエーションがありません。

スロットという名前ですが、スロット形状(長円)以外にも上下左右対称形状など簡易的なポケット形状の加工使用できます。設定項目が少なく便利なコマンドになります。

キャビ加工ツールパス

キャビ加工ツールパスは、スロットミルツールパスより複雑なポケット形状を加工するときに使用します。

ポケットツールパスに比べ加工経路の選択はできません。スロットミルツールパスよりは、設定項目が増えますが、ポケットツールパスよりは設定項目が少ないコマンドになります。

キャビティという用語は、金型用語でよく用いられる言葉で、凹側をキャビティ・凸側をコアという形で使い分けをしますが、キャビ加工ツールパスは、キャビ・コアどちらの形状加工にも対応します。

輪郭ツールパス

輪郭ツールパスは、上記に紹介したコマンドに比べると設定項目数が多いですが、ツールパスコマンドの一番基本であり、2D加工する際に、上記コマンドでできない箇所に使用します。
(2次元輪郭加工のNCデータサンプル)
(輪郭加工のアプローチ)

3Dツールパス

3Dツールパスは、ソリッドやサーフェスからツールパスを作成します。ワイヤーフレーム要素(円や直線)やソリッドのエッジから加工範囲を制限できます。

キャビ粗取りツールパス

キャビ粗取りツールパスは、3Dツールパスの粗取り専用ツールパスコマンドになります。キャビコアの形状にかかわらず使用可能です。

ウォーターラインツールパス

ウォーターラインツールパスは、3Dツールパスの等高線加工を行うコマンドになります。
主に急斜面の面を加工するときに使用します。
(「ウォーターラインツールパス(等高線加工)」の切り込み設定)

平坦部ツールパス

平坦部ツールパスは、フラット面を加工する専用コマンドになります。

スキャロップツールパス

スキャロップツールパスは、3Dの曲面部分をスキャロップハイトを考慮に入れた形でツールパスを作成します。
主にウォーターラインツールパスで対応しきれない緩斜面を加工するときに使用します。

ペンシルツールパス

ペンシルツールパスは、凹エッジ部分(フィレットの有無は問わない)を加工する専用のコマンドになります。
様々な3Dツールパスコマンドには削り残しオプションがありますが、設定が難しいので、凹エッジ部の削り残し加工を行うときに便利なコマンドになります。

面取り・バリ取り

面取りやバリ取りをする場合に、ソリッドモデルを使用すると刃物との干渉回避を自動で計算してくれるコマンドがあります。

モデルに面取りがない場合でも面取りを追加することができます。

面取りドリルツールパス

面取りドリルツールパスは、使用する面取り工具より小さい丸穴専用の面取りコマンドになります。移動はドリルツールパスと同じ上下移動のみの加工になりますが、通常のGコードでNCデータは出力されます。

モデル面取りツールパス

モデル面取りツールパスは、XY平面方向の面取り加工に使用します。垂直壁などで加工できない箇所は自動で回避します。
(Mastercamでバリ取り加工(面取り加工))

3軸バリ取りツールパス

3軸バリ取りツールパスは、バリ取りに重点をおいたツールパスコマンドでXY平面方向以外のZ軸方向のエッジなどにもボールエンドミルなどを使うと加工が可能になります。
(アンダーカット部のバリ取り加工)

補足

今回紹介したコマンドは、最低限の基本ツールパスコマンドになります。
2Dツールパスでは、設定項目の少ない部分的な加工に特化したコマンドです。
3Dツールパスでは、紹介したコマンドの組み合わせである程度の形状が加工可能なコマンドです。

仕上がり面のカッターマークの方向を制御したい場合や加工時間をより短縮したい場合・加工面をよりきれいにしたい場合などが必要な場合は、別なコマンドが準備されています。

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