工具メーカーによって名称が若干異なりますが、浅い切込みで送り速度を早くする加工を目的としたエンドミルを高送り工具や高送りカッターなどと呼びます。
多くの場合は、刃先交換式のエンドミルでフェイスミルと類似の構造ですがチップの角度を浅く調整することで高速加工を実現しています。
CAMでツールパスを作成する場合は、メーカー指示の疑似Rをもつラジアスエンドミルとして作成しますが、実際の削り残り量が多くなります。
マスターキャムでは、高送り工具に対応したツールパスも作成可能ですが、図形の設定パラメータが多いので、他のエンドミルタイプと比べると工具設定難しい工具になります。また、厳密には数値設定しきれない箇所や工具メーカーごとに形状の違いがあるので再現できない形状などがあります。
高送り工具

高送り工具の図形はパラメータ数が多いですが、設定中のパラメータは画面に寸法位置が表示されます。上図は、刃先直径を設定している状態です。
(参考:マスターキャムでエンドミルの設定(標準))
高送り工具の図形設定

全体の寸法
| 切削直径 | エンドミルの直径 上側半径部の最大直径になります |
| 全長 | エンドミルの全長 |
| 刃長 | 1回の切込み量は、上側半径の高さ以下に設定されます。 厳密にはチップ部分は加工を行えますが、アンダーカット部を考慮した加工は行わないので、上側半径の高さより少し大きめの設定にします |
切削部位の形状
| 刃先直径 | 底面のフラット部の直径 下側半径の中心点位置に該当する直径 XY方向の切削ピッチは刃先直径以下に設定します |
| 上側テーパー角度 | 下側半径に接する角度線の角度 |
| 下側半径 | 刃先直径の点が接点になる円弧 |
| 上側半径 | 上側テーパ角度と切削直径に接する円弧 |
| 逃がしテーパー角度 | 上側半径に接するアンダーカット方向の接線角度 |
非切削部位の寸法
| 首下長 | 首下径で設定した直径のストレート部の刃先からの長さ |
| 首下径 | 逃がしテーパ角度が終わる直径 |
| シャンク径 | シャンク部の直径 |
| 逃がし首直径 | 首下径よりもさらに小さい直径を指示できます |
| 逃がし首長さ | 逃がし直径部分の長さ 逃がし首直径と首下径やシャンク径には45度で自動で接続します 首下長+逃がし首長さの合計がメーカー指定の首下長さになります |
補足
多くの工具メーカーのカタログでは、数値の詳細を提示していません。
切削直径(DCX)・刃先直径(DC)・首下長+逃がし首長さ(LH)などは提示されていますが、それ以外は工具メーカーのサイトから該当する型番のSTEPデータなどをダウンロードしてそこから読み取りますが、わかりやすい数値にならない方が多いです。
また、マスターキャムにあるパラメータに準じている項目が少ない場合もあります。
刃長で指示した長さまでは正確に、または若干大きめに設定をし、それ以外の非切削部位の寸法などは、正確性より干渉チェックを優先し、大きめの設定をするようにします。

図形設定において衝突防止モデルとしてSTEPデータを読み込むことができます。
開くアイコンからSTEPデータを開きます。
刃長までの部分を設定値と読み込んだデータの差をモデル誤差として表示するので、0.1以下や0.05以下を目安に設定し、削り代はその数値(0.5~1)以上で設定します。






