JIS規格のJIS B 0405では、普通公差の規格が定まっています。
通常、図面に書かれている寸法数値には、個々に公差を指示しますが、注記として「指示のない寸法は、JIS B 0405-mを適用する」などと表記することで、公差指示を省略することができます。
普通公差を外れる寸法数値に対してのみ公差を入れるという形をとることで効率よく図面を作っていくとこができるようになります。
JIS用語では、普通公差と表現しますが、一般公差と表現する場合もあります。
また、社内公差を独自に定めている場合もあり、その場合は普通公差よりも優先的に適用しますが、外注などに図面を渡す際には、公差表は図中に必須となります。
JIS B 0405の概要
JIS B 0405-mという表記の「m」は等級を表しています。
- f=精級(せいきゅう)
- m=中級(ちゅうきゅう)
- c=粗級(そきゅう)
- v=極粗級(ごくそきゅう)
会社により加工する部品の精度がことなりますが、一般的なマシニングセンタや旋盤などで切削加工で部品を加工しているような場合は中級を採用する場合があります。
JIS B 0405では、長さやピッチなど通常の寸法数値に該当する公差と、面取り用の公差、角度に対する公差が規定されています。
ソリッドワークスでのDimXpert
ソリッドワークスには、3D図面を作成する様に通常の寸法コマンドとは別にMBDという形の寸法入れコマンドがあります。MBDは有償オプションになっていますが、その簡易機能としてDimXpertコマンドを使うことができます。
今回は、DimXpertでの寸法入れの方法は省略しますが、この機能の中に普通公差表を配置できる機能があります。
普通公差表は、部品に対しても図面に対しても配置できますが、DimXpertの機能は、3D上での寸法入れをするためのものなので、オプション関係などは部品ファイルのほうで設定します。
普通公差テーブル
図面作成の時に普通公差表を配置する場合は、テーブルグループの中から選択しますが、部品作成の時には、「メニューバー→挿入→テーブル→普通公差」という形でコマンドを呼び出します。


プロパティマネージャーに表示されている内容を調整し、OKをクリックし、続けて配置したい場所をクリックします。

テンプレートがデフォルトの状態の場合は、中級の普通公差表が表示されます。
ソリッドワークスが標準で準備されている表なので、
- 面取りがブレークエッジになっている
- 公差部分に±記号がない
- mではなく中と表示される
という状態になっています。
等級の変更
等級を変更する場合は、テンプレートを変更します。
ドキュメントプロパティ→DimXpertを表示させます。


普通公差の公差等級から他の等級を選択できます。
カスタムを選ぶこともできますが、DimXpert用なので正式な公差表は別途独自に準備したほうがいいと思います。

精級に切り替えると公差表も自動で切り替わりますが、等級名が高になります。
補足

DimXpertは、3D図面を作成することを基本としたコマンドなので、テンプレートオプションに個別の寸法を入れたときに公差を自動で追加するときの内容を設定することができ、デフォルトとして「上下寸法許容差」「普通公差」「一般」が選択でき、一般を選択すると普通公差表に該当する公差値が自動で付加される形になります。
JIS B 0419
幾何公差にも普通幾何公差という形でJIS B 0419に規定されています。真直度及び平面度、直角度、対称度、円周振れが規定されています。
等級はH・K・Lという等級記号でHが一番公差が厳しい等級になります。
「指示のない幾何公差は、JIS B 0419-kを適用する」のように注記指示を出す形になります。
また、普通公差と幾何公差を同時に注記に指示を出すことができ、
「指示のない公差は、JIS B 0419-mkを適用する」のように指示を出した場合、普通公差はm級(JIS B 0405)と普通幾何公差はk級(JIS B 0419)を両方満たすように一括で指示することもできます。